早稲田でスペインバルを営むK夫妻と目黒のキッチンセロへ。僕は4回目、K夫妻は初めてだが、彼らにとっては流行りの同業店をちょっと偵察という気持ちもあっただろう。今夜僕にはひとつ目的があった。この店に置いてあるはずのボー・ペイサージュという日本のワインを飲んでみることだ。グラスワインのリストにお目当ての銘柄の白(シャルドネ)・赤(マスカットベリーA)が1つずつ載っていた。まずシャルドネを注文。大ぶりのグラスに注がれたのは濃い黄色で濁りの残るワイン。抜栓したてだからゆっくり飲んでくれと店の人が言うのだが、飲み始めると最初たくあんのような匂いがあり次第に果実が上がってくるのが面白く、あっという間に飲んでしまった。自然な造りであるらしくアルザスのワインを思い出し、マルク・テンペのロゼを一杯。その後でマスカットベリーAをいったんは注文したが、思い直してボトルでは何があるかと店の人に訊いてみた。もともと飲んでみたかったのはメルロだったのだ。在庫を調べに行った店の人が戻ってきてラ・モンターニュ2005があるという。メルロ100のやつだ。迷わずそれを注文。匂いからして邪気がない。味はといえば、これはぶどうに無理をさせていないなと確信するような健全な味がした。ワインの評判というのはあまりアテにならぬものだが、これは世評通りの傑作である。日本にも飲み手を驚かせる逸品があると予想はしていたのだが、これはまさにそれに値する1本。一同等しく感嘆し、ボトルはすぐ空になり勢いも出て、もう1本何かを開けようとなったが、それにふさわしい1本が見つからない。タウンター席の背後にあるセラーからグラスで飲めるものを仏・伊・西と3種選んで回し飲みするが、ラ・モンターニュに如くものはなかった。
よく飲んだ。こういう夜は就寝後数時間で目が覚めてしまう。寝室を出てトイレのドアを開けて驚いた。個室がフルーツコンポートのような香気に満ちているのだ。就寝前に用を足したときにわが身が発したものらしい。長年ワインを飲んできたが、こういうことは過去数度しかない珍事である。
おとといの土曜は夜、友人Yを呼び、某女性誌のワインリストのためのテイスティングに付き合ってもらった。白4本、赤2本とはかどった。出色は、白ではロージュリル バスティド・ドゥ・ガリーユ ヴィオニエ2007、赤はグリフォネ サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ2005、サンタ・デュック エリタージュ(NV)のいずれもよく出来ていた。逆にアルゼンチンのシャルドネが不合格に。某ワイン誌の評を頼りに入手したものだったが、当てが外れた。こういうことがあるからやはり自分で飲んでみなくては、との思いを新たにする。
こんばんは
返信削除モンターニュ、美味しそうですね。ニッポンワイン、フランスのソムリエも気になるらしく、某料理雑誌にフランス人ソムリエが日本来日の際にセロの女将が経営する渋谷の店でいろいろと試飲したそうですよ。
評価はカナリ良く、ピュアな味わいに驚いていたそうです。
しかし、フルーツコンポートとは・・(^^;) まさに珍事ですね。
どうも。その後いかが? セロの女将さんとはtoroさんといっしょに行って会って以来会ってないんだよね。日曜はお休みらしい。ボー・ペイサージュのことを語り合いたかったんだがなあ。
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