2009年3月12日木曜日

花より先に開くロゼ

バロン・フィリップ・ド・ロスシルト社のPRをしているH社から試飲用に送ってもらったル・ロゼ・ドゥ・ムートン・カデ2007を抜栓。この3月に発売になったばかりの新商品だ。華やかで品のある紅色。開けたての香りはフルーツというよりアスパラなどのヴェジタブルを感じる。口に含むと舌先にふっと甘みが触れる。このほのかな甘みがすごくいい。ザクロのような、ルビー・グレープフルーツのような。ムートン・カデ(赤)には残念ながらいままであまり良い印象がなかったが、今回のロゼはすばらしい。なぜバロン・フィリップがいまどきボルドー・ロゼを?という疑問は実物の出来の前に雲散霧消してしまった。部屋に春が満ちるようだ。桜の花の下で飲んだらさぞや旨かろう、タヴェルのロゼと飲み比べてみたらどうだろう、と楽しい想像がふくらむ。録画してあったドラマ『神の雫』の最終回を観ながら続きを飲む。遠峰一青の真似をして「おぉぉぉぉー!」と唸りながら、またグラスの中身を飲み干す。ドラマは視聴率が悪く放映打ち切りの憂き目を見たそうだ。気の毒だが、あのつくりでは無理もない。ワイン好きにかぎって『神の雫』やパーカー・ポイントのことを悪く言うが、僕はあえて反対の立場に立とうと思う。これを語ると長くなるので手短に言えば、神の雫の作者やロバート・パーカーは少なくとも人の耳目に自らのワイン観をさらして生きているのだ。主体的にワインと関わることのできる飲み手がいったいこの世に何人いるだろうか?

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