2009年3月6日金曜日

泡沫的インド事件

某女性誌ワイン特集向けリストアップもそろそろ大詰め。大手広告クライアントからの掲載要望(という名の掲載強要)ボトルがメールで届き、それを入れ込むのに“持病”の拒否反応が出るが、もともとが雑誌というのはそういうふうにして成り立っているのだと、過去にも何度も自分に言い聞かせてきた同じ台詞をまたもや自分に浴びせて、それでも一矢を報いるつもりで(誰にだ?)リストの精度を上げるべくエクセルの画面を睨む。泡、白、赤、記念日用というくくりで各15本、つまり全体で60本。この数字、多いと見るか、少ないと見るか。各テーマに産地、品種、味わいや造りのスタイルをバランスよく配し、インポーターも散らしてとなると15本は意外と少ない。逆にリストアップしたボトル数+αの大半を試飲していることを考えるとその数は膨大——。

というわけで、夜の自宅試飲は昨日も今日も明日も続く。昨夜は、泡2本。
1本目はインド(!)のスラ・ブリュット。価格は1500円ほど。正直、物珍しさで候補に加えたのだったが、これがオドロキモモノキインドのシュワシュワ。端正で奥行きもあって、ブラインドで出されたら間違いなく5000円以上のシャンパーニュと答えるだろうという出来。アラン・デュカスやアンジェロ・ガヤが絶賛したとネットに出ていたが、それだけのことはある“事件”である。そういえば一昨年ミシェル・ロランにインタビューしたとき、彼がインドのワイン産業の侮れない現況と展望を語っていた。われわれの石頭が認識をアップデートするよりもずっと速くに世界の銘醸地は拡散・移動しているのだ。
2本目はカバでドゥーシェ・シュバリエ・ドライ。恵比寿パーティの売れ筋で1350円。先のインド産に比べると甘みが勝るが、その完熟バナナのような風味に馴れてくると、包容力を感じて飲み飽きない。
インド→カバ→インド→カバとやっているうちに楽しくなって、すっかり酔っぱらってしまった。

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