M・シャプティエ社のワインセミナーに出席。社長のミッシェル・シャプティエ氏自身がマイクを握って自身のワイン哲学、テロワールの定義、ビオディナミを実践する意義を語る。フランス人らしい自信に溢れた饒舌。脚が悪いようだったが、元々の障害か事故か気になった。印象に残った言葉から。
「ぶどう栽培家がハシゴの高さを決める。それに昇るかどうかは醸造家次第である」
「スノッビズムに溺れてはならないと自戒している」
「シラーは、最近の研究により、エルミタージュの丘の近くで交配によって生まれた品種だということが証明された」
「ワインの後味と料理がマリアージュする」
「醸しを長くしすぎると成分抽出はかえって減る」
セミナー後半は、M・シャプティエ社が誇るセレクション・パーセレール(特に厳選された単一畑ものですべて単一品種による)の2005年水平試飲。白3本(マルサンヌ)、赤5本(グルナッシュ1本、あとはシラー)の計8本のうちじつに4本がパーカーポイント100点満点。ミッシェル・シャプティエ氏は世界で最も多くのPP100点を獲った男だそうだ。
最初の白、サン・ジョセフ・ブラン“レ・グラニ”が会場の端から注がれ始めるとすぐに優美な香りが鼻をくすぐった。酸味が少なく、奥ゆかしく、時と共に複雑さを増す。フィニッシュに感じる軽い苦みがまたいい。エルミタージュの白は長熟に堪えるというが、熟成したあとはどういう味になるのだろう? 初めて北ローヌのヴィオニエを飲んだ日の記憶が甦った。記憶は嗅覚とつながっているというのは真実である。どうやら僕の好む白ワインのスタイルはローヌ川が削った渓谷沿いにあるらしい。赤ではトリを飾ったエルミタージュ・ルージュ“レルミット”が抜群、いかにも若々しいが、仕立ての良いタキシードのような気品が感じられた。
試飲したワインは9000円〜37000円。なかなか普段の生活では手が届かないが、このクラスのワインをたまに飲んでおくことは自分のなかに基準をつくるためにとても大事なことだ。
3年前、ローヌを訪ねたときは南部だけで、北部に気が残った。まだ見ぬエルミタージュの丘への思いはいよいよつのるばかり。
あの丘
返信削除ホント壮観ですよ。
ゆっくりと流れるローヌ河。太陽の恵みを受け止める急斜面。
いつか是非。