某女性誌のためのワインリスト作成で今日も日が暮れる。価格の制限のあるなか、産地、品種をバランス良く揃えるのはなかなかに至難である。
以前にオファーのあったスペイン・ムルシア地方のワイナリー取材の件、媒体は当初狙っていた2媒体(=カメラマン同行)ではなくひとつのみだが行かせてもらうことにする。いまはひとつでも多くの産地訪問を経験しておきたい。
夜、豪州のケイヴス・ロード シャルドネ2005を抜栓。一昨日開けたチリのカルメン ソーヴィニヨン・ブランと飲み比べる。シャルドネはいきなり樽香が鼻につくが総じて悪くない。カルメンは初日の初々しさはなりを潜め、ひねた別の味わいを見せた。この飲み比べでひらめいたことがひとつ。かねがね、新世界の樽のかかったシャルドネには違和感があったが、今夜の飲み比べで、それは昨今の塩ラーメンにおけるあっさりとこってりの間に横たわる深い溝と相通じることだと悟った。塩ラーメンと聞いたとき、年齢のせいか、僕が連想するのはあっさりとして繊細な味わいのスープだ。しかるに、この頃流行りの、若い連中がつくる塩ラーメンはこれでもかというほどダシのきいた脂ギトギトのこってり系。それを現代風と呼ぶのなら老兵は去るべしだ。樽を利かせたシャルドネこそはまさにこのこってり系塩ラーメンだと思うのだがいかがだろう? 同じ樽をかけたシャルドネでも、先日の試飲会で飲んだブルゴーニュのそれのように、バター香という魅力として付加されるものもあるのだ。対して新世界の樽香は本当のダシの旨味を無視した安易な鰹節粉末の出す味わいの如し。
ケイヴス・ロードを悪く言っているのではない。1000円台前半の価格を考慮すれば、これはとても良くできたワイン。ことに晩飯の残りの切り干し大根と鶏とヒジキの煮物にはよく合ったのだ。
白比較の後、昨日開けたグレヨン・カオール2006の2日目を楽しむ。ボルドー右岸に比肩するふっくらとしたエレガンス。この1280円は大発見である。
ワイン本の原稿に何日かぶりに取りかかる。林立飲みに必要なグラスとデキャンタのところ。実践こそが今回の本の肝であると思うからこそ肩に力が入る。
0 件のコメント:
コメントを投稿